稚内市宝来4丁目急傾斜地崩壊防止工事
- 施工場所
- 北海道稚内市
- 工期
- 平成12年3月22日〜平成12年9月29日
- 工事概要
- 法面植生工
この現場は稚内市の北に位置し、法面の頂上からは稚内市街・稚内港はもとより、利尻・礼文島へのフェリーの往来も見ることができます。
植生マット工の概略
従来の法面保護工法は、芝草木の定着を計る為、いろいろな材料を使い種々の工法が施工されてきました。その主流は、植生基盤として厚層の客土をし、種子吹
付を行なう工法でしたが吹付客土・種肥の流亡・崩落及び痩悪土壌・岩盤面に対する植生基盤として肥効持続性など生育不良・衰退等多くの問題がありました。植生マットは、マット本体(袋状マット)を法面全体に隙間なく連続的にセッティングし、この袋状マットの空間に良質土と植生基材を強力な圧送ポンプで注入
させ、連続した人工土壌を作りあげ、植生の早期発芽ならびに長期安定緑化を計る工法です。植生マット工は無土壌地帯・小落石の多い場所・岩盤地帯等あらゆ
る切土面に対して、オールシーズンの施工が可能な注入マット工法です。
アンカーピン打設
法面の整形が完了後、アンカーピン打設のための位置出しを行ないます。
法面の整形
岩盤を一定の勾配で整形するのですが、勾配8分という急傾斜地なので機械施工ができず、人力で地道に整形していきました。高所作業なので墜落・崩壊事故などは即人命に関わる為、安全には特に気を配りました。今回は岩盤(軟岩)にアンカーピンを打設するため削孔機械を用いて施工しました。転石による事故防止の為、上下作業を行なわずお互い声を掛け合いながら作業しました。
植生マット布設
マット布設は、上部から下部へ向って施工します。この時アンカーピンは上部より所定の位置に打設しながら、基材注入による縮みも考慮しつつ順次マットを布設、現場に合わせてマットを縫製していきます。
植生マット布設完了
客土の注入
所定の資材をミキシングポンプに投入し、充分に攪拌・混合したものをスクイズポンプにて圧送し客土を注入します。注入ノズルはマットの注入口の中に差込み、客土がマットの端部にゆきわたるよう、所定の高さ(=厚さ)を確保しながら施工します。
客土注入完了
1年後
発芽・生育した草が岩盤だった法面を覆い緑化しています。さらに月日が経つうちには木本類 の植物も育ち、より自然な形で周囲の景観に溶け込んでいくものと思われます。
※
木本類とは肥料不足による衰退が少なく、また深い根圏を作るため土層の安定に効果的で、このため防災上、環境保全上極めて有効な植物。