十勝圏道立広域公園造成工事その1
- 施工場所
- 河東郡音更町
- 発注者
- 北海道帯広土木現業所
- 請負形態
- 下請工事
- 工期
- 平成14年6月12日〜平成15年2月28日
- 工事内容
- 十勝川流域に造成中の道立公園ビジターセンター(管理棟)屋上緑化に伴う緑化基盤工事
- 工事概要
- 人口地盤客土A(混合土)600m3、人口地盤客土B(採取土)138m3、フィルター(貯水材)1,075m2、吸出防止材(ヤシ系不織布)1,263m2、石組工(芽登石)93.5t
ビジターセンター東側
施工前/完成
ビジターセンター西側
施工前/完成
植栽基盤(B)部分
採取土敷均し
採取土転圧状況
植栽基盤(A)部分
パーライト攪拌前
パーライト攪拌
改良土積込み
改良土搬入
貯水層(ウォーターバンク)の原理
ウォーターバンク
ウォーターバンク内には90〜95%の空隙が有り、その空隙に感湿性樹脂(サーモゲル)が分散されている。
感湿性樹脂(サーモゲル)
保水時
降温になるとサーモゲルが保水を行い、ゼリー状になります。保水された水は傾けたり、水路とつながっても流出しません。
排出状態
昇温により、感湿点の低いものから水を排出したものです。試験内の白い樹脂は、排水後のサーモゲルです。
ウォーターバンクの裏面は、防根・防水の為ポリエチレンを張ってあります。直接屋上などの土間に、移設する場合は必要有りませんが、当現場ではウォーターバンクの下に改良土1層を敷設しているので、その防根・防水処理の為ポリエチレンを張っています。
ウォーターバンク使用は、屋上部に給水設備がない為、将来植栽を行った際、管理上散水管理が大変になると思われ、一番簡単な設備という事で使用された。又、ウォーターバンクの稼動期間は10年と言われている。
ウォーターバンクの材質の内、スポンジは可燃性廃棄物として、サーモゲルは土壌中の微生物により分解されます。
当工事での保水量検定
【前提条件】
1.試験片サイズ:縦300×横500×厚み50o(0.15m3)
2.保水時間(試験片の浸透時間 30分
3.A:保水前の試験片の重量 (0.5kg)
B:保水後の試験片の重量 (6.0kg)
C:飽和保水量<*規格平均値=45kg/m3 (50mm厚みのウォーターバンクの場合)
【保水率】
保水率(%)=B−A/C×100 =6.0-0.5/0.45×100 =81.5%
貯水層工(ウォーターバンク W・B)
ウォーターバンクの吸水作業は、良く足で踏み付けウォーターバンク内の空気を抜きながら作業しなくてはならない。空気を完全に抜き、ウォーターバンク全体に水を吸水させてやらないと、雨などがウォーターバンクに吸水される時間が遅れ、ウォーターバンク自体の効果が薄れる。
ウォーターバンク横に、排水溝 W=3cm を設けるのはウォーターバンク自体の最大吸水量が1m3当り50リットルが限度の為、それ以上の降雨による土壌流出を防止する為です。吸水できない土中水は、排水溝を流れ吸水マットより下方の暗渠にて排水されます。
W・Bの吸水に思った以上の時間がかかった。当初の施工方法では、表面散水にて吸水のはずが全く吸水されず、表面を流れるだけでした。
※ W・B 40m2に対して2,000m3タンクによる散水4回(8,000m3)の内、3回分(6,000m3)が表面流失。施工方法の見直しの結果、散水しながら足踏み等をしないと全く吸水しない。又、W・Bを斜面に敷設・吸水させるも、W・Bが完全に水を吸水した重さで下方にずり落ち敷設を二度行う。
下層改良土搬入
ウォーターバンク自体の温度変化が得られない為、吸排水機能が作用せず、自動潅水システムとしての機能を失うため本工事では、土層厚を20pとした。
また20℃、25℃、30℃、35℃の4種類の温度変化を設定している。
吸出防止布設(ヤシ系不織布)
吸出防止材(ヤシ不織布)は、透水性、土砂の洗掘防止、吸出防止などに優れている。 ヤシ系不織布を固定するのに割りピン(L=150)を使用するはずでしたが、自然に戻る材質を使用する要望があり、芝串を使用する事にしました。しかし今まで施工経験がなく本当に止まるのか不安でしたが、職長との協議の上、下図の当工事現場バージョンにて施工
。後日、強風にもシートの安定が保たれた。
通常
当工事現場バージョン